肩こり

国民生活基礎調査によると、「肩こり」は、女性が訴える症状の第1位、男性でも2位です。
筋肉の無意識の収縮やこりの状態が長く続くと、自然には元の状態に戻れなくなり、慢性的に

なります。そうすると筋肉はやせ、関節がこわばり日常生活に支障をきたすようになります。長引く症状でうつ状態にすらなってしまいます。

 また、もともとの緊張性格が加われば、症状の悪化や緊張型頭痛も引き起こします。自律神経症的な不定愁訴が前面に出て症状が深刻化すると、自律神経失調症にもなってしまいます。
 
  一般に、同じ姿勢を1時間以上持続すると「肩こり」が強くなる傾向がみられます。可能な限り仕事の合間には、一定時間ごとの休憩時間も作り、身体を動かす時間を作ることが大切です。

あごを突き出し猫背になるような姿勢、あるいは長時間にわたって腕を上にあげるような動作はできるだけ避けましょう。長時間にわたる不良姿勢、長時間のパソコン作業・料理・掃除、

不良姿勢で読書・書き物・編み物・運転などは、頚や肩甲骨周囲にストレスを与えるので注意が必要です。


 肩こりには本態性肩こりと症候性肩こりがあります。  
 「本態性肩こり」は、明らかに原因になる病気がないのが特徴で、過労、運動不足、寒冷、精神的緊張、睡眠不足、不良姿勢などで「こり」ます。
 
 「症候性肩こり」は原因になる病気があるもので、たとえば頸椎症、頸椎捻挫、胸郭出口症候群、肩関節疾患、内科疾患、自律神経失調、緊張型頭痛、眼精疲労、更年期障害、うつ病や不安神経症などで「こり」ます。


 

肩こりの症例1
 頚肩こりの33歳の女性、会議中に頚肩こりは強いこわばりになり、退職したいと来院。

現病歴
 パソコン仕事で頚肩がこるとマッサージを受けていた。 3か月前、上司と口論になった。 その後、夜は眠れないし、食事も美味しくない、ちょっとした事でもイライラする日々が続いていた。 2週間前、会議中に頚肩こりが強くこわばった。 1週間前、耳閉塞感にふわふわす

るめまい、キーンと耳鳴がするようになった。心配になって、総合病院耳鼻科へ受診し、診察の結果、ストレスが原因の難聴といわれた。リンパの流れを改善する薬を処方され服用している。会社へ行かない土日は症状がなかった。

 現在、出勤すると緊張して頚肩がこわばってくる。パソコン仕事で目の疲れと頭痛がする。めまい、耳鳴、耳閉塞感は徐々に回復している。その他、不安感、倦怠感、集中力の低下、判断力の低下、苛立ちを感じる。

うがい、洗濯物干し、手さげカバンを持つ動作で増悪しない。上肢に痛み、しびれ、だるさはない。食欲は普通に戻った。睡眠は寝た気がしない、朝起きるのがつらい。大小便は正常。発熱なし。

診断
 長時間のパソコン作業の疲れに、精神的ストレスがかかって強いこわばりになった「精神的緊張」による頚肩こり。

経過
 疲れをためているとストレスに負けてしまう。はり・きゅう治療で強いこわばりをやわらげ、ストレスに強いからだにすることを目標にした。

 1週間に1回、6回の治療で強いこわばりは無くなり、2~3週間に1度治療継続して仕事を続けている。


肩こりの症例2
 パソコン作業をしていると、左側肩甲骨の内側のこりが痛くなる43歳男性、激痛にならないようにしたいと来院。

現病歴
 20~30代はモーレツに働いていた。5年前、左側手指がしびれるのでMRI検査をし、頚椎症といわれた。月に1・2度、頚から腕が激痛になる。腕を下げていられないので、手を頭の上に乗せて過ごしていた。妻に猫背が悪いのではないかといわれている。

現在、仕事でパソコン作業をしていると左側肩甲骨内側のこりが痛くなって、我慢できなくなる。その他左側指先がしびれている。食欲あり、睡眠良い、大小便正常。趣味のスポーツは楽しくしている。

診断
 不良姿勢でのパソコン作業で悪くなっているが「頚椎症性神経根症」が原因の肩こり。

経過
 1週間に1回、17回の治療で激痛になることは無くなり、パソコン作業はつらくなくなった。2~3週間に1度、治療継続して再発予防している。